最も重要な論点は何か?限られた工数で成果を出すための本「論点思考 BCG流 問題設定の技術」

仕事の中で、上司の言われた通りのことを行ったのに評価がそれほどあがらない、限られている工数の中で、一番成果を出すにはどうしたらいいか、いまいちわからない。そんなことはありませんか。

今回、そんな悩みを抱えていた私が、上司に紹介された本「論点思考 BCG流 問題設定の技術」を読んで、目から鱗が落ちたので、備忘録を兼ねて紹介します。

「論点思考 BCG流 問題設定の技術」はどんな本?

一言でいうと、問題発見に力点を置いており、真の問題を見極めるための本です。

同じ著者での本で「仮説思考」もあるが、こちらは主に、問題解決に力点を置いた本であり、今回の「論点思考」で問題設定をしたあとの、問題解決のフェーズで役に立つ本となります。

本書の構成は、大きく以下の構成で成り立っています。

  1. あなたは正しい問いを解いているか?論点の大切さ(第1章)
  2. 論点候補を拾い出す方法(第2章)
  3. 論点を絞り込む方法(第3章)
  4. 全体像を確認し、論点を確定する方法(第4章)
  5. ケーススタディ(第5章)
  6. 論点思考力を高める方法(第6章)

以下、それぞれ、要点をまとめます。

なお、本書の一番良いと思う点は、事例やケーススタディの豊富さです。それにより、要点の理解が非常に深まりますので、全て通して読むことをオススメします。

 

あなたは正しい問いを解いているか?論点の大切さ(第1章)

問題解決はビジネスで成果をあげる際にとても重要です。しかし、その問題は真の問題なのであろうか。もっとも重大な過ちは、間違った問いに答えることです。

「経営における最も重大なあやまちは、間違った答えを出すことではなく、間違った問いに答えることだ」

"The most serious mistakes are not being made as a result of wrong answers.The truly dangerous things is asking the wrong questions.(Men,Ideas and Politics)"

by ピーター・ドラッカー

真の問題に気づく力こそ、現在のビジネスパーソンに最も必要な能力。

なぜなら、問題解決に至るまでのフローは

問題設定→解決策の立案・提示→実行→問題解決

よって、最上流の問題設定段階で間違えたら、解決しない、成果は上がらないのです。

現代のビジネスパーソンに最も必要とされる能力は、大論点を意識しつつ、中論点・小論点(自らの問題)を把握することと言えるでしょう。

大論点論点の中でも、最上位の概念。自分の仕事で成し遂げるべき、最終的なゴール

中論点、小論点大論点を解決していく上で、明らかにすべき点や、解決すべき問題。現場や実務担当者レベルの問題にブレイクダウンしたもの。

したがって、与えられた問題を疑うことも必要です。(本当にそれは論点か?)

問題解決の鍵を握るのは、最上流工程。何を問題とするか、いかに論点を設定するかによって、その後の成否が決まります。

論点真の問題、解くべき問題のこと。

論点思考論点を設定するという、問題解決の最上流に当たるプロセス。「自分が解くべき問題」を定義するプロセス。

 

論点候補を拾い出す方法(第2章)

論点思考の論点

 

課題に優先順位をつけて絞り込む

仕事には、期限があり、工数も限られています。故に、多くの問題の中から選択し、解いて成果をあげなければなりません。よって、論点を「絞りこむ」、「捨てる」必要があります。解いて効果の上がる問題がよい問題といえるでしょう。

論点思考の4つのステップ

論点設定大論点を定義すること

1. 論点候補を拾い出す
2. 論点を絞り込む
3. 論点を確定する

論点整理・確認

4. 全体像で確認する

「論点」と「現象」を見極める

「現象」や「観察事実」を「論点」と間違えないことが大切。「論点」によって、打ち手は変わります。

例1:会社に泥棒が入った場合

現象会社に泥棒が入った

論点1防犯体制に不備がある

打ち手1防犯体制づくり

論点2報告体制に不備がある

打ち手2報告体制の見直し

例2:流行っていないレストランの場合

現象1味がまずい

現象2客が入っていない

現象3価格が高い

論点価格の割にまずいので、リピート客が来ない

ココに注意

1. どこにでもある一般的な問題は論点にならない

2. 「本当にそれが論点か」と常に疑問に持つ

 

論点を絞り込む方法(第3章)

論点らしきものが現れたときの問題の検討のポイント

  1. 解決できるか、できないか
  2. 解決できるとして実行可能(容易)か
  3. 解決したらどれだけの成果があるか

ビジネスパーソンとして大切なのは、成果を出すために「一番重要な問題から解く」ではなく「解ける問題から解く」こと。白黒つけられそうなところからアプローチする必要があります。

筋の良い論点とは

必要条件かなりの確率で答えが出そうな論点であること

十分条件その解決策を実行したら、企業として成果があがりそうなもの

「戦略とは捨てることなり」とはよく言ったもので、ビジネスにとって大切なのは、やらないことを決めることです。「あれもこれも」では結局、何もできません。

 

全体像を確認し、論点を確定する方法(第4章)

依頼を受けた際、「会社の経営状態を好転させてほしい」(おいしいものを食わせろ)系の依頼の場合、以下の手法が使えます。

「論点の仮説」を立てる3つのアプローチ

  1. 質問して相手の話を聞く
  2. 仮説をぶつけて反応を見る
  3. 現場を見る

また、論点を設定する際によく考慮すべきが、問題解決を依頼した人の思い。これをおざなりにすると、状況的に正しい解決策を提示しても、満足してもらえません。

依頼主の真意を探る方法

  1. 相手の発言の真意、意図、バックグラウンドを考える
  2. 引き出しを参照する

引き出しを参照する際の、具体的な参照物はこちら。

引き出しの活用の仕方

  1. アナロジー(類似事例)、他社事例
    例:他業界で同じような事例はないか?
  2. 顧客視点で見る
  3. 鳥の眼・虫の眼で考える(経営者の視点、現場の視点)
  4. 過去の経験を参照する

与えられた論点aとその下位の論点x、y、zに目を向けるのではなく、より上位の論点Aを考えることで、実は論点aの解き方も変わってきます。

上司から問題解決の依頼をもらった場合、「本当の狙いはなにか?」を考え、それに対する解決方法を提言したほうが上司の満足度は高いと言えるでしょう。

 

ケーススタディ(第5章)

事例なので割愛。

本書では、「原材料が上がっている。コストの問題を解決してほしい」と上司から支持された場合のケーススタディが取り上げられています。具体的な論点確定までの流れが紹介されているので、今までのインプットの内容の理解が深まります。

論点候補のリストアップの際、業界全体の問題なのか、それとも自社の問題なのかを分類し、自社の問題ならば、論点になりうると考え、論点を絞っていくのが参考になりました。

 

論点思考力を高める方法(第6章)

論点思考力を高める方法を紹介します。

論点思考を高めるためには

  1. 大論点(本当の問題は何か)を常に考える姿勢を持つ
  2. 視点を変え、視野・視座・視点の三要素で論点思考を高める
  3. 複数の論点を考える
  4. 引き出しを増やす
  5. 反論されても説得せずに聞く

 

視点を変え、視野・視座・視点の三要素で論点思考を高める

このうち、「2. 視点を変え、視野・視座・視点の三要素で論点思考を高める」について、もう少し方法論をお伝えします。

視点を変え、視野・視座・視点の三要素で論点思考を高める

視野普段あまり気にしていないことに注意を向けてみる

視座二つ上のポジションに就いているつもりで仕事をする

視点切り口を変えてみる

では、視点を変える、すなわち切り口を変える方法は、どういったものがあるのでしょうか。

いろいろな切り口でものを見る方法10パターン

  1. 逆から考える
  2. 業界最下位だったらどうするか
  3. 現場目線で考える
  4. 両極端に振って考える
  5. ロングレンジで考える(10〜20年後の夢見る人になりましょう)
  6. 自然界からの発想
  7. 日常生活からの発想
  8. アナロジー(類似事例)、他社事例からの発想
  9. 顧客視点で見る
  10. 鳥の眼・虫の眼で考える

 

複数の論点を考える

このうち、「3.複数の論点を考える」について、もう少し方法論をお伝えします。

複数の論点を見つける方法(どうしたら問いがたてられるか)

  1. 日頃から「これが問題だ、あるいはこれが解決策だ」というもの以外に最低1つは別の問題や答えを考えてみる癖をつける
  2. 論点の代替案を立てる

 

論点の代替案を立てる

代替案を考えるには上下左右の論点が重要になります。

  1. 論点を与えられたときには、まず同じレベルで全く別の論点がないかを考えてみる(左右の論点)
  2. それぞれの論点を包含するような上位概念の論点がないかどうかを考えてみる(上下の論点)

また反対しそうな人の立場になって、自分の案をあえて批判的に見てみることも必要だ。反対者の意見を想像することで、相手の論点を見極める必要があります。

 

なお、メンバーへの課題の与え方、など論点思考の効用なども、本書には記載がありますが、ここでは個人レベルでのまとめとしているため割愛。部下にどう問題を与えたらいいか、などを考える方は、ぜひ、本書を読んでみてください。

 

まとめ

・「どんな広告をうつべきか」は解くべき問題か?

・新製品開発は会社の成長につながるか

など、実際の仕事でありそうなシチュエーションや問いを、事例として大量に用いているため、事例を読み進める中で、具体的にイメージしやすいのが、この本の非常に良い点だと感じます。

また、論点思考でニューヨークを復興させた(ニューヨーク市の凶悪犯罪撲滅に大きな成果をあげた)ルドルフ・ジュリアーニ前ニューヨーク市長の例など、過去に実際に論点思考で成果をあげた事例も、多々紹介されています。

電子書籍でもありますので、どこでも手軽に読めるのも魅力。


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ぜひ、ご一読されてはいかがでしょうか。

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