ブラックすぎると思える環境の時に。「この会社、絶対に理不尽じゃない?」そう思っても、新卒で採用されたその会社しか知らないから、なかなか比較のしようがなかった。
そんな時に出会ったこの本。備忘録含めて、覚えていたい点まとめます。会社も個性があることを感じられる一冊。
リストラなしの「年輪経営」 いい会社は「遠きをはかり」ゆっくり成長 (光文社知恵の森文庫) [ 塚越寛 ]
備忘録
「良い会社」ではなく「いい会社」を目指そう
経営とは「会社の数字」と「社員の幸せ」のバランスをとること。
「良い会社」
数字を重要視しているイメージ。
「いい会社」
単に経営上の数字がよいというだけでなく、会社をとりまく全ての人々が、日常会話の中で「あの会社は、いい会社だね」と言ってくれるような会社。
ブームというのは「最大の不幸」
寒天が主力商品のこの会社。
ブーム到来⇒寒天メーカーが増産⇒原材料の海藻が高騰⇒以後の経営の足をひっぱる結果に。
平成とはなんて不思議な時代だったんだろう
100年後、200年後、歴史家がいうに違いない。
「モノはいっぱい溢れているのに、みんなが幸福じゃなくて、倒産する企業も多く、貧困に苦しんでいる人がたくさんいた。一体、どうなっていたんだろう。」
利益は健康な体から出るウンチである
ウンチは健康な身体なら、自然と毎日でる。出そうと思わなくても、出てくるもの。
「健康な会社」であれば、「利益」というウンチは自然と出てくるはず。出そうと思わなくても、出てくるもの。
だから、「利益」を出そうと思えば「健康な会社」(バランスのいい会社)をつくればいい。
「赤信号、みんなで渡るから正しいの」
今の世界の“人件費カット”のこと。
コスト削減、なかでもリストラを大きく打ち出した企業は、株式市場から評価され、株価が上がるという現象が表れている。
利益を上げようとするならば、まず商品やサービスの付加価値を上げることを考えるべき。そして、適正な価格で売れる仕組みを作ること。
最近は、付加価値を高めるという、労力のかかる仕事をおろそかにして、コスト削減という手っ取り早い方法に走っているように思える。
性善説に基づくと経営コストは安くなる
十分な信頼関係で結びついていれば、不要な手間は取り除けるもの。
例)日本の鉄道とヨーロッパの鉄道との違い
「日本」
改札で切符のチェックを受けて、車内でも再びチェックを受ける。
「ヨーロッパ」
高速鉄道等を除けば、切符のチェックはほとんどない。改札でも形ばかり。
※無賃乗車には厳しいが・・・
経営戦略は「進歩軸」と「トレンド軸」の座標軸から判断。
「進歩軸」
人間が過去から現在、そして未来へと進歩していく方向を示すもの。
「トレンド軸」
その時々の流行を示すもの。
経営戦略を立てる時には、まず「進歩軸」に合致しているかどうかを見極め、さらに、「トレンド軸」に乗るように考えることがポイント。
人間は、やる気が起きると、自ら仕事を追いかける。
人間の能力にはカタログ値はなくやる気になれば、数倍の力を発揮する。経営者は、社員のやる気を上げる方法を考えるべき。
まとめ
伊那食品工業株式会社といえば、地元の長野県民であれば、だれもが知っている、“かんてんぱぱ”で有名な会社だそう。しかし、このような会社だったとは、あまり知られていなかった様子。
当時、自分が働いていた会社と正反対の会社。
自分が、働いていた会社は、とにかく「●%成長」「GMS(昨年対比)」「コスト削減」。
これに洗脳されているから「なに甘っちょろいこといってるの?」「それって自己満足じゃないの?」「本当に社員って幸せなの?」と、最初は穿った見方もしてしまった。
でも、社員の幸せを考え、それを実現させるために、塚越さんは、本当にいろいろなことを行い、信念を持って実行している。
今の会社の経営者も、塚越さんも同様「常に改善する」「常に改革を心がける」という点は共通している。
これは、どんな形態にしても重要なことなのだろう。
会社なんてどこも同じで理不尽だ!と思った時に、「そうではないんだ」と気づかせてくれる一冊。
今の環境に絶望を感じている時に、組織というものに対して光を感じることができるかもしれません。