仕事をする中で、「もっと頭がよくなりたい」と思うことはないでしょうか。また、仕事を一通り覚えて、一生懸命やってはいるのに、なかなか結果が出ない、評価されない、といったことはないでしょうか。
そんな中、上司にオススメされた、ベストセラー、細谷功著「地頭力を鍛える 問題解決に活かす 「フェルミ推定」」。どうしても、活字が頭に入って来ず、オーディオブックでも聞き飛ばしてしまったりで、これではまずいと購入した、こちらのマンガ版。備忘録かねて、要点だけまとめます。
「まんがでわかる 地頭力を鍛える」は、どんな本?
ベストセラー、細谷功著「地頭力を鍛える 問題解決に活かす 「フェルミ推定」」のマンガ版です。
構成として、ストーリー仕立てとなっており、家具メーカーで人一倍努力はしているが、結果がでずに苦情受付課に移動させられた女性が、できる同期のアドバイスをもとに地頭力を鍛えたり、フレームワークを使用したりで、次第に結果がでるようになっていく話。
実際に仕事をしている中で、陥りがちな思考のクセなど、漫画を通して客観的に見ることができる中で、自分の仕事の仕方も反省させられます。
一生懸命やってるけど、結果がでない、仕事で完璧を求めてしまう、そういった方におすすめです。
ざっくり、以下3つに分けられます。
- 地頭力とは?
- 結論から考える(仮説思考力)
- 全体から考える(フレームワーク思考力)
- 単純に考える(抽象化思考力)
それぞれ、みていきましょう。
地頭力とは?
地頭力とは、未知の領域で問題解決をしていく能力です。
まず、ベースとなる3つの力があります。
- 知的好奇心(原動力)
- 論理的思考力(守り)
- 直感力(攻め)
そして、地頭力固有の3つの思考力があります。
地頭力固有の3つの思考力
結論から考える。最終目的まで効率的に到達できる。
フレームワーク思考力全体から考える。思い込みを排除し、コミュニケーションの誤解を少なくする。ゼロベースで考える。
抽象化思考力単純に考える。一を聞いて十を知る。物事をわかりやすく捉える。
これら地頭力で、圧倒的に仕事の生産性をあげることができます。
「結論から考える」ことができれば、散漫な会議にならずに、最終目的へ効率よくたどり着けます。「全体から考える」ことができれば、細かい部分的なところにとらわれずに後戻りや思い込み、誤解を少なくすることができます。「単純に考える」ことができれば、少ない情報を様々な範囲に応用して、新しいアイデアの創造や効率化を飛躍的に図ることができます。
そして、それらの地頭力は、いつからでも鍛えることが可能です。
なお、地頭力と知識力(知識・経験)には根本的な違いがあります。インターネット、AIの飛躍的発展で、必要になるのは考える力「地頭力」です。
地頭力(考える力) | 知識力(知識・経験) |
未知・未来重視 | 既知・過去重視 |
「正解」はない | 「正解」がある |
プロセスは多様 | プロセスは1つ |
時間はかかるが無限 | 時間はかからないが有限 |
問いが重要 | 答えが重要 |
素人が強い | 専門家が強い |
そして、仕事では、まずは完成度が低くても、限られた時間と情報で仕上げてみることが大切です。
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「日本全国に電柱は何本あるか?」「世界に猫は何匹いるか?」といった、正確な答えが出しにくい問いでも、推定ロジックによって短時間で求める方法。「原子力の父」として知られるノーベル賞物理学者のエンリコ・フェルミが名前の由来。
結論から考える(仮説思考力)
仮説思考力とは
仮説思考とは、今ある情報だけで最も可能性の高い結論(仮説)を想定し、疑問や課題を発見することで、次のアクションが明らかになる。こうして情報の精度を上げながら、検証を繰り返して仮説を修正する思考パターンのことです。
よって、地頭力のある人は、今ある情報でできることは、今ある時間でできることは、今あるお金でできることは、今いる人でできることはと考え、ウソでもいいからやってみます。
一方、地頭力のない人がかかる病気「ないない病」。情報がないから、時間がないから、お金がないから、人がいないからできない。これが地頭力のない思考の口癖です。
仮説思考力
- 少ない情報からでも仮説を構築する姿勢
- 前提条件を設定し進む力
- 時間を決めて、とにかく結論を出す力
20点型と80点型の違いはこちら。仕事をうまくこなしている人は、2つを上手に使い分けています。
20点型 | 80点型 |
まずラフに全体像を | 1つずつ着実に進む |
何度も直す | 「ファイナルアンサー」一発 |
資料はラフに | 資料はきれいに |
「問い」のための答え | 「答え」のための「答え」 |
「何がわからないのか?」 | 「何がわかっているのか?」 |
そして、仕事では、まずは完成度が低くても、限られた時間と情報で仕上げてみることが大切です。
仮説思考と非仮説思考の違いはこちら。
仮説思考(20点型) | 非仮説思考(80点型) |
「結論から」考える | 最後に結論がでる |
「65点」主義 | 完璧主義 |
スピード重視 | 正確さ重視 |
限られた時間と情報で最善の答えを出す | 全ての情報を集めて十分な時間を取る |
そして、仕事では、まずは完成度が低くても、限られた時間と情報で仕上げてみることが大切です。
とりあえずの答えを出す方法
時間も情報もない中で依頼されたときの、とりあえずの答えを出すコツはこちら。
- 「その場で」とにかくわかっていることを形にしてみる
- 答えを出そうとせずに「質問」をたくさん出す
「その場で」とにかくわかっていることを形にしてみる
時間が経つほど依頼者の期待値は上がり、そのわりには悩んでいる側の成果が上がらないため、期待値のズレが大きくなる一方だからです。
完璧のすり合わせのタイミングは、「その場で」最終的な成果物のイメージを合わせることです。
答えを出そうとせずに「質問」をたくさん出す
仮説を考える時に使えるのが「5W2H」(だれが、いつ、なにを、どこで、どのように、いくらで)です。
仮説を立てる目的は、答えを出すことではなく、「課題や疑問を抽出する」こと、そして仮説はファイナルアンサーではないので、つねにアップデートし修正していくものです。
全体から考える(フレームワーク思考力)
思い込みや勘などで、ビジネスはどんどん間違った方向に進むことも多いものです。そういった、「思考のクセを取り払う」のに有効なのが、フレームワーク思考力です。
「思考のクセ」に気づくには、「自分を上から眺める」ことも効果的です。
フレームワーク思考と思いつきの違いはこちら。
フレームワーク思考 | 思いつき |
「白地図」の上に列挙 | 単純に羅列 |
思考のクセに気づける | 思考のクセに気づかない |
「今ないもの」に気づく | 「今あるもの」の集合のみ |
他者との共存がしやすい | 他者との共存がしにくい |
フレームワーク思考は全体を俯瞰し、客観的に見ることができます。また、フレームワークを用いると、全体の中の優先順位が明確になり、それを他者と共存することが簡単になります。
単純に考える(抽象化思考力)
ビジネスシーンで「自分の業界は特別だから」と、他の業界と自分は別世界でやっていると思っている人は多いです。たしかに業界によって特別な部分はあります。しかし、同じ人間、基本的な行動原理は同じ。その特別でない部分を抽象化することで解決策を導き出すことが「単純に考える」ということです。
その方法は、本質と関係ない部分をバッサリと切り捨てること。
例えば、「キリマンジャロコーヒー」、抽象化すれば、シンプルに「飲み物」です。「水」も「コーヒー」も飲み物です。
課題の本質を抽象化できれば、類似のものから解決の方法を導き出すことができます。
「単純に考える」抽象化思考力の手順はこちら。
- 自社の案件を抽象化する
- 類似した事象を参考に解決策を探る
- 自社の案件で解決できるか確かめてみる
抽象化とは、「要約する力」です。「良い要約」であるための特徴はこちら。
- 短い(「枝葉」を切り捨てる)
- 全体のコンセプト(=抽象レベル)を網羅している
- まとめ方が目的に合致している(次のアクションや相手にどうして欲しいかが明確)
また、普段から話をしていない人に話をするときに必要なのは、「最初に全体像を共有する」ことです。
「全体を一言で」表現するためのコツはこちら。
- 「全体として何点です」と表現する
- 「相手にどうして欲しいのか」を必ず明確にする
まとめ
こちらのまとめでは割愛しておりますが、以下項目のチェックシートが本書には存在します。
- 典型的な「優等生であるがゆえの思考停止」に陥っている可能性を確認する10つの質問
- 日常の仕事で完璧主義がマイナスに働いている可能性を確認する10つの質問
- 「思い込みの激しい人」かを確認する10つの質問
- 自分は「抽象化」のイメージが理解できているかを確認する10つの質問
割愛した事例などを確認することで、非常に理解が深まるでしょう。
なお、こちらの「まんがでわかる 地頭力を鍛える」は「地頭力」ブームを巻き起こしたベストセラー「地頭力を鍛える 問題解決に活かすフェルミ推定」のコミック化です。
電子書籍でもありますので、どこでも手軽に読めるのも魅力。
もちろん、紙の本もあります。
もっと詳しく勉強したい、という方はぜひ、活字の元祖「地頭力を鍛える 問題解決に活かすフェルミ推定」もおすすめです。
電子書籍はこちら。
紙の本はこちら。
考え方など、知ってるだけで変えられることも多いはず。通勤中にさっくり読んで、今日から仕事に生かしてみては、いかがでしょうか。