早く帰りたいのに、自分だけ残業ばかり。雑務がありすぎて、やりたい仕事にたどり着く前に疲れてしまう。結果やりたい仕事ができない。そんな体験ありませんか?
そんな時、紹介された「マンガでよくわかるエッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする」を読んでみたので、備忘録かねて要点をまとめます。人からの依頼を断れない、取捨選択できない、結果、自分の仕事が溢れる。そんな方は必読です。
エッセンシャル思考とは
エッセンシャル思考とは
エッセンシャル思考は、たくさんの瑣末の物事の中から、少数の本質的なことを選び取る、つまり「99%の無駄を捨て1%に集中する」考え方です。
「やらなくては」「どれも大事」「全部できる」といった3つの考え方を、以下の通り変えます。
エッセンシャル思考の3つの考え方
「やらなくては」ではなく「やると決める」
時間とエネルギーの使い道を選ぶことができる。
2.ノイズ「どれも大事」ではなく「大事なものは滅多にない」
世の中にある大半のものがノイズであって、重要なものはほとんどない。
3.トレードオフ「全部できる」ではなく「なんでもできるが、全部はやらない」
全てを手に入れることはできない。「全部終わらせよう」と考えるのをやめて「どの問題が一番重要か?」を考える。
結果、本当に大切なことを見極め、最高のパフォーマンスを発揮することが可能となるのです。自分の時間とエネルギー(努力)を最も効果的に配分し、重要な仕事で成果をあげるのが、エッセンシャル思考の狙いです。
優秀な人ほど失敗する可能性が高い
優秀な人は、次のような「成功のパラドックス」に陥ることになります。
成功のパラドックス
目標をしっかりと見定め、成功へと一直線に進んでいく。
第2段階成功した結果、「頼れる人」という評判を得る。「あの人に任せておけば大丈夫」と言われ、どんどん多様な仕事を振られるようになる。
第3段階やることが増えすぎて、時間とエネルギーがどんどん拡散されていく。疲れるばかりで全てが中途半端になる。
第4段階本当にやるべきことができなくなる。成功したせいで、自分を成功に導いてくれた方向性を見失ってしまう。
この、「成功のパラドックス」に陥ってしまった場合は、エッセンシャル思考へと大きく舵を切る必要があるでしょう。
エッセンシャル思考は、自分の選択を自分の手に取り戻すためのシステマティックな方法であり、「見極める技術」「捨てる技術」「仕組み化する技術」を身に着けることでもあります。
非エッセンシャル思考 | エッセンシャル思考 | |
考え方 | みんな・すべて
|
より少なく・しかしより良く
|
行動 | やることをでたらめに増やす
|
やることを計画的に減らす
|
結果 | 無力感
|
充実感
|
少数の重要なことを見分ける
選ぶ基準を明確にすれば、脳のサーチエンジンは厳密な結果を返してくれます。
例えば、「良いチャンス」だけで脳内検索すると、なんとなく良さげなものがたくさん出ます。
しかし、次の3つの問いを加えると、絞られます。
- 自分は何が好きか?
- 自分は何が一番得意か?
- 世の中の大きなニーズに貢献できるのは何か?
選択する場に直面した時、何を指標として考えるか。
- なぜやるのか?(正しい理由)
- いつやるのか?(正しい時期)
- 何をやるのか?(正しいこと)
この3つの軸が、重なるものこそが、最高の成果を発揮する部分になります。
立ち止まって最短コースを考える
本当に重要な物事を見極めるために必要なことは5つです。
- じっくりと考える余裕
- 情報を集める時間
- 遊び心
- 十分な睡眠
- 何を選ぶかと言う厳密な基準
立ち止まることで、結果、前に進むための最短コースを教えてくれるのです。
そして、捨てるべきものを問う時、自分の優先事項がはっきりと見えてきます。考えるべきは「何にノーと言うか?」です。
見極める技術
90点ルールで大切なことだけを選ぶ
90点ルール、90点未満は0点と同じと考えましょう。厳しい基準で中途半端な選択肢に悩むことをやめましょう。
シンプルな数字で決めることで決めることで選択が合理的・論理的になります。感情が入り込む余地をなくす。基準が厳しくなれば、無駄なことに振り回されずに納得できる仕事に打ち込めるし、得意なことを追求することで自分の強みが増します。よって絶対にイエスと言い切れないなら、すなわちノーとなります。
ただちに「90点以上だ」と判断できないときは、チャンスを正しく選別するための3つのプロセスがおすすめです。
プロセス
あなたのもとに舞い込んできたのは、どんなチャンスか?
2.考慮に値するチャンスの「最低限の基準」を3つ書き出す「最低限これだけは満たしてほしい」という基準は何か?
3.考慮に値するチャンスの「理想の基準」を3つ書き出す「こうだったら最高だ」と思う基準は何か?
最低限の基準を満たしていないチャンスは、却下。理想の基準を満たしていないチャンスも却下。全て満たしているものだけが選択に値するチャンスです。
捨てる技術
目標をマトリックスに分類すると、以下の通りです。
一般的 | 具体的 | |
刺激的 | ①ビジョン・ミッション | ④本質目標 |
平凡 | ②価値観 | ③四半期目標 |
「世界を変えたい」のような刺激的だが具体性に乏しいもの。
②価値観「イノベーション」や「チームワーク」、「リーダーシップ」など、企業が重視している価値、ありふれているもの。あまりインスピレーションをかき立てるものではない。
③四半期目標「昨年比5%の増益」のような、具体的だが魅力がないもの。
④本質目標具体的かつ刺激的。大きな意味があり、しかも測定可能。
こういった優れた本質目標を作成するために意識すべきことは、次の2つです。
1.言葉にとらわれない本質目標の記述は美しくなくてもよく、形よりも中身が重要であり、本質的な問いを立てる必要があります。
「たった一つのことしかできないとしたら、何をするか?」
2.達成をどう判定するか達成をどう判定するか、を答えられるくらい、具体的でリアルなものにすること。リアルだから心を動かします。
上手な断り方を知る
エッセンシャル思考の行き方は、どうしても「ノー」を言う必要があります。そこで、上手な断り方を紹介します。
- とりあえず黙る
- 代替案を出す
- 予定を確認して折り返す
- 自動返信メールを利用する
- どの仕事を後回しにするか?相談する
- 冗談めかして断る
- 肯定を使って否定する(喜んで引き受けるフリをして、実は断ると言うテクニック。「どうぞ私の車を使って下さい、キーを置いておきますね」→運転は断っている)
- 別の人を紹介する
仕組み化する技術
集中のためのテクニック
エッセンシャル思考は、今ここに集中します。集中の対象を1つに決めて、持てる力を全てかけます。そのためのテクニックはこちら。ポイントは集中です。
集中のための手順
1.「今、何が重要か」を考える。
2.やることが決まれば、集中する為に邪魔になるものを排除する
3.未来を頭の中に抱えない。頭の中にあるものを紙に吐き出す。リストアップすることで、やるべきことも忘れないし、漠然とした焦りもなくなる
4.優先順位をつける、今やるべきリストができたら番号を振って順番に片付けていく
最悪の事態を想定する - バッファ
万が一に備えて、バッファをとり、予定外のことがあってもペースを取り戻せるようにしておく必要があります。そのコツを紹介します。
1.徹底的に準備する
2.見積もりは1.5倍で考える
3.シナリオプランニングでリスクを軽減する
(1).このプロジェクトにはどんなリスクがあるか?
(2).最悪の場合、どんなことになりうるか?
(3).周囲の人への影響はどのようなものがあるか?
(4).そのリスクは自分(会社)にとってどの程度の経済的負担となるか?
(5).リスクを減らすためにどのような投資を行うべきか?
まとめ
この本を読んでみて、注意が必要かなと思った点が一つ。仕事ができて、結果いろんな依頼や仕事が舞い込んできてしまう人には、非常に良い考え方の本だと思います。
しかし、まだ新卒で、どんどん経験を増やすべき人や、自分の軸が考えることができるほど、経験がないような人は、「捨てる、断る」のではなく、「とりあえずやってみる」も重要ではないかと思います。やってみた結果、判断基準ができたり、「実は好きだった」「向いていた、得意なことだった」もわかる場合もありますよね。
なお、こちらの「マンガでよくわかるエッセンシャル思考」は「エッセンシャル思考」のコミック化です。
電子書籍でもありますので、どこでも手軽に読めるのも魅力。
マンガでよくわかる エッセンシャル思考【電子書籍】[ グレッグ・マキューン ]
紙の本はこちら。
もっと詳しく勉強したい、という方はぜひ、活字の元祖「エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする」もおすすめです。
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考え方など、知ってるだけで変えられることも多いはず。通勤中にさっくり読んで、今日から仕事に生かしてみては、いかがでしょうか。